1)保育士給料はなぜ安い ――― 4つの要素が妨げに

(1) 保育士給料の財源が国等からの支給金のため、給料アップがしずらい。
保育所(認可保育施設)の財源は、公的な支給金と保護者からの保育料の2種類です。
保育士の給料も、当然この支給金と保育料から支払われています。
保育士給料が低い理由の1つには、この公的な支給金問題があるのです。
つまり、税金が保育士給料に使われているため、どうしても給料アップには抑制的にならざるを得ない雰囲気が、常につきまとってしまうのです。

(2) 保育料金も“公的価格”で自由に決められない。
2つ目の財源である保育料収入も、保育料は自治体単位で決められるものとなっています。
具体的には、自治体からの年齢区分ごとの保育単価×園児数となっています。
保護者への保育料の値上げを求めたくても、個々の保育所の自由にはならないものなのです。

(3) 保育士のスキルアップに対応した資格制度がない。
日本の保育士資格にはスキルに応じた資格の区分(資格制度)がありません。
例えば、経験を重ねてのスキルアップがあっても、これを認証する資格名がないのです。
そのため、給料アップにつなげにくい雇用形態にとどまっているのです。

(4) 人件費比率がすでに高いため、経営上の工夫の余地が残されていない。
サービス残業の発生や退職金制度の貧弱さという問題の改善スピードが遅い原因が、ここにもあると言えましょう。

2)安い給料となってしまった社会的な背景

私たちの日常生活の中で、保育士という職業が果たしている役割は、教育職として考えられている国もある一方、我が国のように福祉に関連した職業として、とらえられている国もあります。
そして、保育士を教育の職員としてみている国では、保育士と教員との給料格差はないのが普通ですが、福祉職として考えられている国の場合では、保育士と教員のそれに、格差があるのが現実です。
この背景には、福祉とは教育ではなく人の世話であるとの認識があり、そのためいまだに、保育士の仕事についても、教育面の重要性が語られず、ただ「子供をあずかり、事故を起こさず、楽しくすごさせること」であるかのごとき誤解があります。
さらに、この人の世話の大半が女性によってなされてきていたことが、男女間の賃金格差の存在と重なって、公務員の場合を除いては、保育士の給料を安くしてしまっているのです。

3)それでも保育士の未来は明るい

しかしながら、保育士の有効求人倍率(求職者数に対する求人数の割合)は、現時点でも、全国平均で2倍を超え、東京都では5倍を超えています。
一方、保育所に入りたくても入れない「待機児童」問題がいまだに解決されていません。
つまりこのことは、“保育士は引っ張りだこ”という状態が継続することを意味しているのです。
当然のこと、日本政府も昨年『保育士確保プラン』を打ち出しました。
そして今年春には、「不足する保育人材の確保を目指し、2017年度から保育士の給料を月額約6000円を引き上げるのに加え、保育技術の高いベテラン保育士については、最高で月給4万円程度上がる方向で調整する」との方針を発表しました。
首相も、みずからこの問題に積極的な姿勢をとらざるを得なくなってしまいました。
こうした社会環境から、保育士の給料も必ずアップしていきます。
ただしそのスピードを上げてもらうためには、社会全体の強い声、特に保育士さん自身からの声が、不可欠だと思われます。